カルバマゼピンにより発疹を呈した患者の臨床的検討

DOI
  • 廣瀬(澤野) 詩季子
    東京歯科大学口腔健康科学講座障害者歯科・口腔顔面痛研究室
  • 野口 智康
    東京歯科大学口腔健康科学講座障害者歯科・口腔顔面痛研究室
  • 福田 謙一
    東京歯科大学口腔健康科学講座障害者歯科・口腔顔面痛研究室

書誌事項

タイトル別名
  • Clinical Study of Patients with Rash Caused by Carbamazepine

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抄録

症例の概要:三叉神経痛治療の第一選択薬であるカルバマゼピン(以下CBZ)は眠気やめまい,ふらつきなどの様々な副作用が知られている.発疹は比較的高率に出現し,時に薬剤過敏症症候群やStevens-Johnson症候群,中毒性表皮壊死症などの報告もある.私たちは,2016年1月から2021年12月の6年間に東京歯科大学水道橋病院ペインクリニック科を受診し三叉神経痛の診断を受けCBZを処方された195例のうち発疹が発生した5症例の経過と対応を報告する. <br>考察:CBZは三叉神経痛の第一選択薬であり,診断や鑑別にも用いられている.副作用で代替薬による治療に変更した場合はペインコントロールにしばしば難渋する.良好なコントロールが得られない場合は外科療法や定位放射線治療,神経ブロックの適応となる.当科では,CBZの継続ができない場合はプレガバリンやアミトリプチリンの単独もしくは併用で投与し,薬物療法で良好な鎮痛が得られない場合は外科療法や定位放射線治療を医科に依頼している.三叉神経痛は病状増悪に伴いCBZの増量を余儀なくされるため肝障害などの副作用も発現しやすくなる.そのためCBZの投与開始後は重篤な副作用の早期発見のために,長期にわたり定期的な血液検査を行い,肝機能状態や血液像などの全身状態の確認が必要であると再認識できた. <br>結論:CBZの投与には注意を要するものの,三叉神経痛の治療の第一選択としてCBZを安全に使用できるものと考えられた.

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