気温が高山植物ハクサンオオバコ(<i>Plantago hakusanensis</i> Koidz.)と国内外来種オオバコ(<i>P. asiatica</i> L.)の開花重複に及ぼす影響

  • 佐野 沙樹
    大阪府立大学大学院人間社会システム科学研究科 現:福井県自然保護センター
  • 中山 祐一郎
    大阪府立大学大学院人間社会システム科学研究科 現:大阪公立大学大学院現代システム科学研究科
  • 野上 達也
    石川県白山自然保護センター 現:石川県生活環境部自然環境課
  • 柳生 敦志
    白山雑草研究会

書誌事項

タイトル別名
  • Effects of temperature on flowering overlaps between an alpine plant<i> </i>(<i>Plantago hakusanensis </i>Koids.) and a domestic alien plant (<i>P. asiatica </i>L.)
  • 気温が高山植物ハクサンオオバコ(Plantago hakusanensis Koidz.)と国内外来種オオバコ(P. asiatica L.)の開花重複に及ぼす影響
  • キオン ガ コウザン ショクブツ ハクサンオオバコ(Plantago hakusanensis Koidz.)ト コクナイ ガイライシュ オオバコ(P. asiatica L.)ノ カイカ チョウフク ニ オヨボス エイキョウ

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抄録

<p>白山の亜高山帯に生育する高山植物ハクサンオオバコは1年の生育期間中に2回の開花期をもつことがあり,2回目の開花期が国内外来種オオバコの開花期と重複することによって種間交雑が起こる。本研究では,温度条件が両種の開花に及ぼす影響を栽培実験によって検討した。ハクサンオオバコでは,低温区(20/15°C)と高温区(25/20°C)ともに2回の開花期がみられた。そして,花序の節位と開花時期の関係から,ハクサンオオバコは生育期間中に花芽を形成し(プレフォーメーション),その花芽を休眠させて越冬し,翌年の融雪直後に開花するフェノロジーをもつが,一部の花芽が生育期間中に開花に至ることがあり,2回咲きを生じていることが証明された。一方,オオバコは生育期間に形成した花序を当年中に開花させた。そして両種ともに低温区よりも高温区で開花開始日が早まり,開花花序数が増加したこと,有効積算温度に対する開花量の分布が両種で重なったことなどから,開花が温度に依存することが示された。気温が上昇すると両種の開花期間が延長したり開花量の重複が増えたりすることによって種間受粉の機会が増加して,種間交雑が発生しやすくなると考えられた。</p>

収録刊行物

  • 雑草研究

    雑草研究 68 (2), 41-54, 2023

    日本雑草学会

参考文献 (17)*注記

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