味噌および醤油添加調味液の浸漬前処理が加熱調理肉の軟化に与える影響

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  • The Effect of Tenderization of Roasted Meat on Pre-Soaking in Miso-Based and Soy-Sauce-Based Seasoning

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抄録

<p> 調味料による食肉の軟化効果に着目し,無浸漬肉,醤油ベース浸漬(SBS)液,味噌ベース浸漬(MBS)液に浸漬した後に焼成した肉の軟らかさについて検討を行った。MBS液はSBS液に比べて5倍希釈液の浸透圧が100mOsm程度高張であった。また,全糖量もSBS液に比べて10倍以上高値であった。各々の浸漬液に4℃で1時間浸漬すると肉のpHは低下し,焼成後ではさらに低下した。焼成後の圧縮応力と圧縮率を測定した結果,圧縮応力の値は無浸漬の肉は有意に(p<0.01)高値を示した。また,10回圧縮後では,SBS液浸漬よりもMBS液浸漬の肉が有意に(p<0.05)低値を示した。圧縮率についても同様の傾向がみられた。焼成後の重量変化から求めた保水性もMBS液浸漬した肉が有意に(p<0.05)保水性が高く,圧縮しても復元力が大きいことを示唆した。走査型電子顕微鏡で組織の変化を解析した結果,MBS液浸漬肉では筋線維束間に間隙が生じ,さらに筋線維束の膨化が観察された。官能評価において,SBS液浸漬した肉に比べてMBS液浸漬した肉の方が軟らかいという結果が得られた。これらの結果から,浸漬調味液への醤油や味噌の添加は,食塩濃度やpHが変化するため肉の保水性向上とタンパク質凝固抑制が生じ,無浸漬肉に比べて焼成後に軟らかくなると考えられた。また,味噌添加では全糖量が上昇し,肉の保水性がさらに向上して,圧縮応力や圧縮率が低下するだけでなく,筋線維束の組織が構造変化することで肉の軟らかさが保持されていると示唆された。</p>

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