経時的に観察しえた骨化生を伴う膵管内乳頭粘液性癌の1例

書誌事項

タイトル別名
  • Chronic Progression of Intraductal Papillary Mucinous Carcinoma Accompanied by Stromal Ossification

抄録

<p>症例は81歳の男性で,5年前より腹部CTで膵鉤部に石灰化を伴う20 mm大の囊胞性腫瘍を指摘されていたが,患者が精査を希望せず,経過観察の方針となっていた.経過中貧血の進行を認め,腹部CTでは膵腫瘍は径33 mm大に増大し,内部の石灰化はびまん性に増加していた.上部消化管内視鏡検査では十二指腸水平脚に腫瘍性病変の露出を認め,生検結果より浸潤性の膵管内乳頭粘液性癌と診断し,亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織学的検査では,主膵管に乳頭状に増殖する膵管内乳頭粘液性癌細胞を認め,周囲への間質浸潤像とともに間質内には明瞭な骨化生像が散在性にみられた.術後合併症なく経過し第19病日に退院した.術後7か月現在,明らかな再発所見は認めていない.膵管内乳頭粘液性腫瘍における骨化生は非常にまれな病態であり,骨形成の誘導については不明な点が多くその病態解明にはさらなる症例の蓄積が必要である.</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ