新教育運動期における公江喜市郎の教育改革への提言 ―「自学主義」と女子教育思想に焦点をあてて―

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  • Kiichiro Koe’s proposals for educational reform in the New Education movement: Focus on ‘independent learning’ and the idea of women’s education, 1920-1931.

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抄録

本稿では,教師が新教育運動をいかに捉えていたかということを理解するため,兵庫県御影師範学校教諭兼訓導や兵庫県視学を勤めた公江喜市郎の自学主義と女子教育思想に関する論考を俎上に載せ,彼の見解,批判,期待などを考察した.その結果,次の4 点が解明された.彼は,①自学主義が主知主義などを包含していることを突き止め,思想的淵源・価値を精緻に吟味する必要性を論じた,②教師を鼓舞する意図をもって「生への意思」の観点から「教育精神の根本」の確認を教師に託し,新教育運動の改革可能性に期待した,③女性の属性を人間,国民の下に位置づけ,狭義の良妻賢母主義を批判し,女性がその天職を自覚して中等教育以上の教育機会を得る意義を論じた,④ナポリの女性教育家・チビタの実践に「教育精神の根本」を見出した.従って,彼の教育改革への提言は,教師が人類共同の目的と価値に向けて使命と「教育精神の根本」を自覚し,教育研究に取り組むべきであるという見解と女性の教育機会の拡大の要請にあった,と要約することができる.

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