台風によるバイオエアロゾル輸送の実証と実相調査—2017年台風第5号(Noru)通過時の徳島市における降雨中細菌種組成変化—
書誌事項
- タイトル別名
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- Investigation and Evidence of Bioaerosol Transportation by Typhoons—Change in the Bacterial Composition of Rain in Typhoon No. 5 (Noru) at Tokushima, 2017—
説明
<p>熱帯低気圧から発達した「台風」は,熱帯地域で発生し,日本に大雨・暴風など被害を及ぼす気象現象としてよく知られている。本研究は,台風によって輸送される大気バイオエアロゾル(浮遊生物粒子)についての実証・実相調査を実施した。サンプリングは,徳島大学において2017年8月7日和歌山県に上陸した台風第5号(Noru)の通過時に行った。台風影響下の雨水,サンプリング地点の土壌,サンプリング地点付近の海水のアンプリコン解析と主座標分析より,雨水は台風通過前の雨水のグループと通過後のグループの雨水に分けられ,台風通過前の雨水のグループは海水に近かった。海洋細菌であるSynechococcales目に属す細菌の種組成分析から,台風通過前の雨水および海水から検出され,台風通過後の雨水から検出されなかった。Synechococcales目に属す細菌が,台風中心部の通過海域,室戸岬から紀伊水道周辺の海水から舞い上がり,台風メカニズムにのり,サンプリング地点である徳島市まで輸送されたことがわかった。Synechococcales目に属す細菌に中に病原菌も含まれることから,本知見は公衆衛生学的にも注目される。今後の台風が,海水温上昇により強力化することから,陸域・海域生態系に及ぼす影響の増加が環境問題の一つとなるであろう。</p>
収録刊行物
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- 環境科学会誌
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環境科学会誌 37 (4), 138-146, 2024-07-31
社団法人 環境科学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390863948816014336
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- ISSN
- 18845029
- 09150048
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可