北海道・常呂川流域における河川特性と人為の水質への影響

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  • Effects of river characteristics and anthropogenic factors on water quality in the Tokoro River Basin, Hokkaido, Japan

抄録

<p>Ⅰ はじめに</p><p> 北海道常呂川は大雪山系三国山(標高1,541m)に源を発し、北見盆地にて同じく三国山から発する無加川と合流し、オホーツク海に注ぐ幹川流路延長120km、流域面積1,930㎢の一級河川である。農用地等の人為的活動による流域の利用法が変化したことで、TN濃度、TP濃度、SS濃度が流出しやすくなっている(石川ほか 2002)。</p><p></p><p>Ⅱ 研究方法</p><p> 水文水質データベースでは常呂川では北見市若松橋で1961年よりBOD, CODなどの数値が記録されており、他の観測所でも1970年前後から観測されている。また、調査箇所を決め定期的に現地にて採水を行い水温、気温、電気伝導度(EC)、比色pH及びRpHを計測し、その試料を用いて実験室の機器を用いて全有機炭素(TOC)の測定と主要溶存成分の分析を行い、図表化して流域水質の考察を行った</p><p></p><p>Ⅲ 結果と考察</p><p> 1.河川特性と2016年8月北海道豪雨災害</p><p> 常呂川の河川断面については1922年の大雨を基本流量として決められている(北海道開発局:100年確率、北海道:30〜50年確率、北見市下水道:10年確率)。2016年8月に常呂川流域を襲った台風災害は、これまでの河川行政の在り方も問われたものとなった。2019年7月には「減災」に向けたタイムラインが策定されたが、如何に地域住民に避難行動を周知徹底していくかが今後の課題となる。</p><p> 2.結氷現象</p><p> 日最低気温が氷点下10℃以下になると水温が氷点下以下となり、深夜から朝にかけて河道にアイスジャムが発生する。岸氷が発達して開水面が狭まり、3日間の日最低気温の和が氷点下40℃以下になると完全結氷する。また、北海道内の諸地点における積算寒度調査から、完全結氷に至る流域の積算気温は日平均気温で500℃以上、日最低気温で1500℃以上であると推測された。</p><p> 3.河川水質</p><p> 流域が農業地帯で中・下流域が住宅地帯である小町川の水質が最も悪化しており、また農業地帯だけを流下する支流仁頃川、訓子府川で水質の悪化が見られ、常呂川本川においても無加川との合流地点後の北見市内を流下することによって水質が悪化してゆくことがサンプルデータの解析で明らかとなった。この結果は人間活動全般が水環境に大きな影響を及ぼすと考察できる。</p><p></p><p>Ⅳ おわりに</p><p> 農業地帯だけを流下する支流仁頃川、訓子府川で水質の悪化が見られ、常呂川本川でも北見市内より下流で水質が悪化してゆくことが水文地理学の観点による解析で明らかとなった。この結果は人間活動全般が水環境に大きな影響を及ぼす。</p><p></p><p></p><p>参 考 文 献</p><p>石川靖, 斎藤修, 金子正美, 小林正幸, 木内康之(2002):常呂川・網走川流域の土地利用差に伴う一次支川水質の変動, 北海道環境科学研究センター所報, 第29号, 46-52.</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1391693801403749248
  • NII論文ID
    130007949096
  • DOI
    10.14866/ajg.2020a.0_110
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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