中国におけるティラピア養殖業の展開と課題

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タイトル別名
  • Development and Problems of Tilapia Culture Industry in China
  • チュウゴク ニ オケル ティラピア ヨウショクギョウ ノ テンカイ ト カダイ

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抄録

<p>本研究においては,急速に発展を遂げつつある中国ティラピア養殖業の展開過程を考察し,それに関わる課題と今後の展望を明らかにすることを目的とした。</p><p>ティラピアは将来有望な養殖対象種の1つとしてFAOの指導の下に全世界で普及しており,現在ではアジア・南アメリカ・アフリカなどの98カ国(地域)で養殖されている。ティラピアは淡水域から汽水域まで広範に養殖が可能であり,水質変化に強く,安価な餌料でも十分な成長力を持つことから低コスト生産が可能である。</p><p>中国におけるティラピア養殖もこうした経緯の下で1980年代に事業化され,1990年代において急速に発展を遂げた。現在,中国は世界最大のティラピア生産・消費国であり,かつ世界最大のティラピア輸出国ともなっている。</p><p>中国におけるティラピア養殖は,水温条件のよい広東省・広西省・海南省が主産地であり,大規模な産地形成が進んでいる。しかし品種改良や政府の食料政策によって全国的な生産拡大が進められ,その生産力と国内市場規模は膨大なものとなっている。またそこでは資本の参入による統合化の進展,付加価値加工品生産の増大,企業間競争の激化など,アグリビジネス的な状況が見られつつある。さらに近年では国際市場の拡大が進み,巨大輸出産業として成長することが強く期待されるようになってきた。</p><p>安全性に関する問題が解消されれば,中国におけるティラピア養殖産業は今後大きく拡大していくことが予想される。</p>

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