当院における急性症候性発作を伴った頭部外傷の臨床的特徴

書誌事項

タイトル別名
  • The clinical features and CT scan findings associated with posttraumatic seizures
  • トウ イン ニ オケル キュウセイ ショウコウセイ ホッサ オ トモナッタ トウブ ガイショウ ノ リンショウテキ トクチョウ

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説明

<p> 外傷性頭蓋内出血における外傷性てんかん(posttraumatic epilepsy: PTE)は神経学的予後の悪化に寄与するとされる.そのPTE発症のリスク因子として外傷後7日以内に発症する急性症候性発作であるposttraumatic seizure(PTS)が挙げられており,PTS発症を予測し予防することは重要である.今回,当院において2022年1月から10月までの間に外傷性頭蓋内出血で入院となった56例について,PTSの有無(発作群,非発作群として分類),および患者背景,画像所見を診療録にて後方視的に検討した.1か月以内に死亡した7例を除いた49例のうち,発作群は11例(男7:女4),非発作群は38例(男24:女14)であった.平均年齢は発作群で81.2±12.4歳,非発作群は63.5±26.4歳であり,発作群にてより高齢であった(p=0.033).頭蓋内血腫の内訳としては,急性硬膜下血腫27例(発作群11例:非発作群16例),外傷性くも膜下出血27例(発作群4例:非発作群23例),脳挫傷21例(発作群6例:非発作群15例),急性硬膜外血腫8例(発作群1例:非発作群7例)であった.脳挫傷またはくも膜下出血を有するものは発作群7例,非発作群26例であり,そのうち運動野に局在するものは発作群4例,非発作群3例であった.有意に発作群に多かった(p=0.023).また,急性硬膜下血腫を有している27例のうち側頭葉底部に血腫が進展しているもの(Temporal base‒subdural hematoma: TB‒SDH)は発作群で6例,非発作群で4例であり,有意差は認められなかった(p=0.22).しかし,外傷性くも膜下出血などほかの頭蓋内血腫のない急性硬膜下血腫のみの症例13例では,発作群は4/4(100%),非発作群は2/9(22%)でTB‒SDHを認め,発作群にTB‒SDHが多かった(p=0.021).運動野近傍の脳挫傷や外傷性くも膜下出血,そして側頭葉底部に進展する急性硬膜下血腫が,PTSの発症に寄与している可能性がある.</p>

収録刊行物

  • NEUROSURGICAL EMERGENCY

    NEUROSURGICAL EMERGENCY 29 (1), 7-13, 2024

    特定非営利活動法人 日本脳神経外科救急学会 Neurosurgical Emergency

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