高齢患者の嚥下障害と死亡リスクの検討

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タイトル別名
  • Dysphagia and Risk of Death in Elderly Patients
  • コウレイ カンジャ ノ エンカ ショウガイ ト シボウ リスク ノ ケントウ

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説明

<p>【目的】高齢者や基礎疾患を有する患者における嚥下障害は,誤嚥性肺炎やフレイルのリスクとして重要である.一方で,高齢者の嚥下障害の有無による生命予後への影響を評価した研究は少ない.本研究の目的は,地域における様々な背景を有する高齢者の摂食嚥下障害の有無が生命予後に与える影響を明らかにすることである.</p><p>【方法】2013 年1 月から2019 年12 月までの間に市立八幡浜総合病院に入院した患者で摂食嚥下機能低下が疑われ,嚥下評価を行った65 歳以上の患者838 名を対象とした.退院時の摂食嚥下障害臨床重症度分類の誤嚥有りを嚥下機能低下群,誤嚥無しを嚥下機能非低下群とし,年齢,性別,主たる入院病名,併存疾患,既往歴,入院時の血清アルブミン値,入院期間,介入期間,入院前の生活場所,退院後の生活場所,生命予後を比較検討した.生存率は Kaplan-Meier 法を用い,生命予後のリスク因子はCox比例ハザード回帰分析を用いて検討した.</p><p>【結果】嚥下機能低下群(n=633)では,非低下群(n=205)に比して有意に死亡率が高く(log-rank,p<0.001),嚥下機能低下群の3 年生存率は36.8% であった.3 年後の死亡に関連した因子は,年齢(p<0.001,リスク比 1.06,95%CI[1.04,1.07]),男性(p<0.001,リスク比1.50,95%CI[1.21,1.85]),心疾患歴(p<0.043,リスク比 1.28,95%CI[1.01,1.60]),入院時の血清アルブミン値(p<0.001,リスク比 0.57,95%CI[0.49,0.65])嚥下機能低下あり(p<0.001,リスク比2.68,95%CI[1.98,3.71])であった.</p><p>【結論】様々な疾患による高齢入院患者において,嚥下機能の低下は,長期的生命予後と関連した重要なリスク因子であることが示された.</p>

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