ヘビトンボの生活史に関する知見

  • 吉田,利男
    信州大学教養部生物学教室:(現)福井県アユ種苗センター
  • 杉本,剛士
    信州大学教養部生物学教室:(現)福井県アユ種苗センター
  • 林,文男
    信州大学教養部生物学教室:(現)東京都立大学理学部生物学教室

書誌事項

タイトル別名
  • Notes on the Life History of the Dobsonfly, Protohermes grandis THUNBERG (Megaloptera, Corydalidae)

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説明

1976年5月から1981年9月までの間, 長野県松本市内を流れる女鳥羽川でヘビトンボProtohermes grandisの生活史について調査を行い, 次のような知見を得た.幼虫の食物は消化管内容物を調べることにより, 蜉蝣目, 毛翅目, 双翅目(ユスリカ科)の幼虫であり, 蜉蝣目が主流を占めることが確かめられた.マーキングによる追跡により, 本種幼虫は冬期は成長を停止すること, 3回目の冬を越すと老熟することが推定された.老熟幼虫は黒化し, 6月中旬∿8月にかけ蛹化のため陸へ上がり, 湿気の多い場所の石や倒木の下に穴を堀り, 蛹室を作って蛹化する.この蛹は裸蛹であるので, かなり活発な動作が可能である.蛹化後4-5日すると, 穴から出て付近の植物体上にはい上がり羽化する.また, 成虫は夜間活動性で小昆虫を捕食するが, ときには樹液を摂取することがわかった.

収録刊行物

  • 昆蟲

    昆蟲 53 (4), 734-742, 1985-12-25

    東京昆蟲學會

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