多施設共同研究による本邦における妊婦血清トリプルマーカー基準値設定の試み

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  • Multicenter Study for Maternal Serum Triple Markers to Establish Japanese Standards

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母体血清トリプルマーカー値(母体血清α-フェトプロテイン,フリーβ-ヒト絨毛性ゴナドトロピンおよび非結合型エストリオール)には人種差を認めるとの報告がある.そこで,これらのマーカーの本邦における基準値を設定するために,多施設共同研究を行った. 母児ともに合併症のない1,641例の正常妊婦(妊娠12∼20週)を対象として各マーカーを測定し,妊娠週数ごとの中央値を算出した.平均年齢は30.5±4.8歳(17∼46歳),妊娠週数および母体体重の平均は,それぞれ14.9±1.8週(12∼20週)および52.6±7.0kg(35∼94kg)であった.その結果,α-フェトプロテインの中央値は,妊娠12週の18.1ng/mlから妊娠20週の85.55ng/mlまで,同様に非結合型エストリオールは0.35ng/mlから3.34ng/mlまで漸増し,フリーβ-ヒト絨毛性ゴナドトロピンは妊娠12週の53.85ng/mlがら妊娠20週の9.95ng/mlまで漸減した. 次いで7例の21トリソミーについて,上記より得られた中央値より各マーカーのMoM値を算出して検討したところ,α-フェトプロテインのMoM値はいずれも1.0未満,フリーβ-ヒト絨毛性ゴナドトロピンは1例を除いていずれも2.0以上であり,非結合型エストリオールは,1例を除いていずれも1.0未満であった.なおα-フェトプロテインおよびフリーβ-ヒト絨毛性ゴナドトロピンは体重による補正を行い,非結合型エストリオールは補正しなかった. 以上より,トリプルマーカーは21トリソミーのスクリーニングに有用と考えられるが,今後,一般の産科臨床において母体血清マーカーによる出生前診断が普及するようであれば,さらに例数を追加してより高精度の基準値を設定する必要がある.

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参考文献 (21)*注記

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