新しい洗浄型CART(Washed-CART)の考案 : 基礎的検討

書誌事項

タイトル別名
  • New Approach to Cell-free and Concentrated Ascites Reinfusion Therapy (CART) : A Preliminary Study of Washed-CART

この論文をさがす

説明

腹水濾過濃縮再静注法(CART)は,肝硬変や癌患者における難治性腹水症例を対象に積極的に施行されつつある.しかし,未だ機序が不明瞭な発熱が副作用として高頻度に報告されており,薬剤による対症療法が併用されている.そこで今回,発熱への関与が疑われるサイトカイン分画を除去し,一定濃度に調整した腹水製剤の精製を目的に,生理食塩液にて洗浄・再濃縮する洗浄型CART(Washed-CART)を考案し,その有用性をin vitroにて検証した.その結果,通常の濾過濃縮操作に洗浄操作を加えることで,分子量2万~3万に存在するサイトカインと同分画の除去率を20%程度向上できた.一方,アルブミン分画の除去率はほぼ不変であった.また,濃縮器入口圧と濃縮液中の蛋白濃度との間には,良好な相関関係が認められ,圧力値を指標にした濃度制御の可能性が示唆された.今後,腹水製剤の冷凍保存が一般的になれば,Washed-CARTの重要性はさらに高まるであろう.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ