経営コンサルティング・ファームのグローバル戦略 : ヘイ・グループ日本支社の探索的ケース・スタディを中心に

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  • Global Strategy of Management Consulting Firms : An Exploratory Case Study on Hay Group (Japan), Ltd.

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本稿の目的は、経営コンサルティング・ファームのグローバル戦略について考察することにある。多くの経営コンサルティング・ファームが既にグローバル化を果たしており、そのグローバルなプレゼンスを競争優位の源泉として強調している。しかし、経営コンサルティング・ファームがグローバル戦略を遂行する上で幾つかの構造的な問題を解決する必要がある。すなわち、ローカル支社の自律性を失わせることなく、その強みに貢献するような形で協働の利益を獲得しなければならない。個々の支社がそれぞれの立地する地域においてプレゼンスを発揮して初めて、グローバルな経営コンサルティング・ファーム総体での強さが生きてくるのである。本稿では、これら問題について実際にどのようなグローバル戦略が遂行されているのかについて考察するため、探索的ケース・スタディを採用した。対象とした企業は、外資系の経営コンサルティング・ファームのへイ・グループ日本支社である。ヘイ・グループは、職務給制度、コンピテンシー制度を核とした人事に関するコンサルティング・サービスをグローバルな規模で提供している経営コンサルティング・ファームである。同日本支社の活躍は、武田薬品工業との人事制度改革のアサインメントを遂行したことで有名である。考察の結果、ヘイ・グループでは「グローバル・アプリケーション戦略」と呼べる戦略を遂行していた。グローバルに適用可能性の高いサービスの提供に焦点を絞り、そういったサービスの提供を求めているクライアントを専らターゲットとする。そのために方法論、測定ツール等で標準化、共通化を図り、グローバルに共有する。この戦略を遂行するためには、オリジナル性を確保し、コンセプト創造力を確保する必要がある。同時に、サービスの品質保持に腐心しなければならない。ローカル支社の強みは、グローバルな競争力を持つ商品とコンサルタントの能力が混合されたものとなる。一方、弱点としては、コンサルティング・ニーズに臨機応変に対応したサービスを提供するといった機動性にかけ、主たる頼みとするサービスが陳腐化する恐れを常に考慮していなければならない。

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