体外受精・胚移植における子宮動脈系血流環境と卵巣ホルモンおよび妊娠成立の関係について
書誌事項
- タイトル別名
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- Doppler Assessment of Uterine Blood Flow as a Marker to Predict the Uterine Receptivity in IVF-ET Program : Correlation between Vascular Resistance in Uterine Arteries and Hormone Levels
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説明
【目的】体外受精・胚移植(IVF-ET)において着床および妊娠成立の過程は解明されていない. 本研究は, ET前の子宮動脈系の血流環境が, 妊娠成立の予知に有用であるか否かを, 前方視的に検討することを目的とした. 【方法】対象は, 形態良好な4細胞期卵を2個移植した41周期(41症例)(妊娠成立群P群;14周期, 妊娠不成立群NP群;27周期)のIVF-ET実施例である. 経腔超音波カラードプラ法によりET前日の子宮動脈上行枝および放射動脈を描出し, その血流速度波形からpulsatility index (PI)を算出して妊娠率との関連について検討した. さらに, 子宮動脈PI値と血清estradiol(E_2)濃度の関連についても検討した. 【成績】(1)子宮動脈PI値(p<0.01)は, P群;2.90±0.74(mean±SD), NP群;3.43±0.60で, 放射動脈PI値(p<0.01)は, 同様に, 2.13±0.55および2.56±0.54であり, いずれもP群で有意に低かった. (2)子宮動脈PI値が3.0未満の場合の妊娠率が64%(9/14周期)であるのに対して, 3.0を超えた場合の妊娠率は19%(5/27周期)であり, 両群間に有意差(p<0.01)を認めた. (3)放射動脈PI値が2.5未満では48%(12/25周期)に妊娠が成立したが, 2.5を超えた場合の妊娠率は13%(2/16周期)であり, 両群間に有意差(p<0.05)を認めた. (4)子宮動脈PI値が3.0未満で, さらに放射動脈PI値が2.5未満である場合の妊娠率は82%(9/11周期)であった. (5)子宮動脈PI値と放射動脈PI値との間には, r=0.734と高い正の相関を認めた(P=0.0001). (6)子宮動脈PI値と血清E_2濃度との間に, r=-0.44の有意な負の相関を認めた(p=0.019). 【結論】(1)IVF-ET実施例において, ET前日の子宮動脈PI値および放射動脈PI値の評価は, 妊娠成立の予知に有用である. 子宮動脈PI値が3.0, 放射動脈PI値が2.5を超えるような循環不全の周期はETには適さない子宮環境であるが, 血流環境を改善することによって妊娠率を高め得る可能性がある. (2)子宮動脈循環は血清E_2濃度の影響を受けている. 血清E_2濃度が低値の場合, 子宮動脈循環不全が惹起され, 妊娠の成立が障害される可能性がある.
収録刊行物
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- 日本産科婦人科學會雜誌
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日本産科婦人科學會雜誌 49 (2), 81-87, 1997-02-01
日本産科婦人科学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1541980095219696384
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- NII論文ID
- 110002112379
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- NII書誌ID
- AN00190060
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- NDLデジコレ(旧NII-ELS)
- CiNii Articles