小豆の調理特性に関する研究 : 第2報 : 渋切り処理が加熱小豆の品質におよぼす影響

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タイトル別名
  • Study on the Cooking Characters of Azuki Beans. : Part2 : Influences of "Shibukiri" Treatment During Boiling on the Quality of Cooking Products.

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説明

加熱小豆の調理に渋切り処理が広く行われているが,この処理は加熱中における換水操作が基本であり,それによって各種成分が除去されるものと考えられ,調理製品の色調・品質にも影響を与えることが予想される。本研究は加熱中の渋切り処理が,吸水率の消長・胴割れならびに崩壊粒の発生・含有でん紛のα化度・あん粒子の大きさ・色調および味におよぼす影響に検討を加えたものである。(1)渋切り処理時は,換水による温度低下がその効果を高めるので,渋切り処理の換水には冷水を用いる必要がある。(2)小豆の吸水率は加熱中に上昇するが,加熱後55分以後は渋切り処理によって,やや低くなる傾向が認められた。(3)胴割れ粒の発生は加熱後50分からみられるが,この時点における処理区の発生率は無処理区よりも著しく低く,その後の発生も遅れる傾向があった。このことは崩壊粒の発生についても同様であった。(4)含有でん粉のα化度は加熱時間60分で70%前後に達し,それ以後著しい変化はみられないが,渋切り処理区はほぼ一定になるまでの値が無処理区よりも高く,渋切り処理は含有でん粉のα化度を促進する傾向を示した。(5)あん粒子の大きさは加熱後50~60分で急激に大きくなり,60分以後はほとんど変化しなかった。このことは無処理区・処理区とも同様であったが,処理区では加熱後50分の粒子が著しく小さいことおよび粒子の大きさのバラツキが少ない傾向がみられた。(6)渋切り処理による色調の変化は種皮部では小さいが,子葉部では大きかった。処理区の子葉部は明度・黄味度が高く,赤味度が低く,視覚的には淡くなった。また,煮汁の色調は渋切り処理によって明度が高く,赤味度が低くなり,視覚的には色調は淡くなった。(7)官能試験の結果,処理区の生あんの味が淡白であると判定され,ねりあんの好ましさについては有意差が認められず,あんのし好は個人によってかなり幅広い変異を示すことが予想された。本研究を進めるにあたり,終始ご懇切なご指導を賜りましたお茶の水女子大学教授吉松藤子先生に深く感謝の意を表します。また試料を提供下さった十勝農業協同組合連合会農産化学研究所に御礼を申し上げます。

収録刊行物

  • 調理科学

    調理科学 9 (4), 219-224, 1976-12-20

    調理科学研究会

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