野草の調理科学的研究(第2報) : 野草の無機成分含有量

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  • On the Cooking of Wild Grasses from the Viewpoint of Cookery Science(Part II) : Estimation of Inorganic Elements

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抄録

兵庫県加東郡社町地域における野草13種類について、特にツクシ、フキは成長段階、ワラビ、ヨモギは採取時期による無機成分、Ca、Na、K、Mg、Feの含有量の測定を行った。1. Caについては、ツクシのはかま276.6±84.9mgと、フキの葉115.4±24.9mgが高い値を示し、野草100g中40~80mgの値を示すものが、全体の60%を占めた。2. Naでは、ツクシの成熟した頭部13.4±2.0mgをはかまが高い値を示し、その他は2~5mg前後のものが多かった。3. Kは、ツクシのはかま857.3±181.3mg、成熟した頭部802.9±128.3mg、次いで未熟の頭部、タンポポ、フキの葉が高い値で、コシアブラは196.4±61.5mgと最も低い値を示した。4. Mgは、コシアブラの87.8mgとスギナ87.5mgが比較的高い値を示し、100g中20~40mg前後の値を示すものが全体の60%であった。5. Feは、ツクシのはかまが12.0±3.0mgと最も多く、次いでスギナ、ヨモギで、その他は低い値を示すものが多かった。6. 5月(春期)と9月(秋期)の採取時期による無機成分の変化は、ワラビではMgとFeが採取時期による大きな変化はなく、Kは5月採取のものより、9月採取のものが50%以上増加し、Ca、Naは減少の傾向がみられた。またヨモギは、4月採取より9月採取に増加がみられたのは、Ca、K、Mgで、Na、Feは減少していた。7. ワラビ、ツクシの成長段階による無機成分の変化は、同時期に採取したワラビの若芽と葉の少し開いたものでは、若芽より葉の少し開いたものの方が、Ca、Na、K、Mg、Feのすべてに高い値を示した。ツクシの頭部でも、未熟なものより成熟したものが、Mg、Feを除いてCa、Na、Kは増加しており、成長段階によって無機成分の含有量に変化がみられた。

収録刊行物

  • 調理科学

    調理科学 20 (1), 68-71, 1987-03-20

    調理科学研究会

被引用文献 (1)*注記

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