中央構造線の古第三紀左横ずれ断層運動

  • 宮田,隆夫
    Institute of Geosciences, College of Liberal Arts, Kobe University
  • 宇井,啓高
    Department of Earth Scicnce, Faculty of Education, Toyama University
  • 市川,浩一郎
    Department of Geoscicnces, Faculty of Science, Osaka City University

書誌事項

タイトル別名
  • PALEOGENE LEFT-LATERAL WRENCHING ON THE MEDIAN TECTONIC LINE IN SOUTHWEST JAPAN

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説明

近畿地方西部(和泉山脈南縁)および中部地方西部(設楽盆地南縁・三河大野地方)の最近の研究にもとづき,中央構造線の白亜紀後の左横ずれ断層運動を論じた。近畿地方西部では,中央構造線主断層および,それに北接する最上部白亜系和泉層群に記録されている分岐雁行断層群,雁行正立褶曲群,ブーディン構造等の解析から,左横ずれ成分の卓越した変位が白亜紀後,中期中新世前(四国西部の知見を参照し恐らく中期始新世前)に進行したとみられる。その水平変位量は,破砕帯の発達規模との相関から,約15kmと試算される。中部地方の設楽盆地南縁では中新世の設楽層群ならびに安山岩岩脈を切る左横ずれ変位がしられ,それは林(1978)によれば約2kmの水平変位量をもつ。九州東部,中部地方東部の知見をもあわせて考察すると,中期中新世より前の左横ずれ変位は九州から中部地方にかけ多くの地域で進行したとみられる。それは九州・近畿では古第三紀前半を中心とするものと推定される。一方,中新世後の左横ずれ変位は,現在のところ設楽盆地南縁にしか知られておらず,その地域的広がりがどの程度のものであったかは明らかでない。以上の第三紀左横ずれ変位は,第四紀後期の右横ずれ変位とは対照的であり,また変位量は前者の方が後者よりも明らかに大きい。

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被引用文献 (1)*注記

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