思春期女子乳房発育とその内分泌学的背景

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  • Correlation between Breast Development and Hormone Profiles in Puberal Girls

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思春期における乳房発育過程と身体発育並びに各種ホルモン値との関係について検討した. 1) 年齢と乳房発育との関係 : 乳房発育は TannerのB_1~B_5の5段階分類に従つた. 加齢と共に乳房は発育し, 14歳に至ると乳房未発育段階といえるB_1の例はなくなる. B_3は9歳~17歳までみられるが, 15歳以後は殆どがB_4或いはB_5を示す. なお成人型であるB_5ほ12歳~17歳に分布するが, 加齢と共に増加して17歳では72%を占めた. 2) 身体発育と乳房発育との関係 : 身長の急激な増加は乳房発育初期のB_1~B_2の時期にみられるが, B_4以降plateauに達する. 体重の急激な増加も, B_1~B_3にかけてみられ, 以後も漸増傾向を示した. 3) 下垂体ホルモンと乳房発育との関係 : FSH及びLHはB_1~B_2にかけて有意に増加し, その後もB_4まで漸増した. なおPRLには一定の傾向はみられなかつた. 4) ステロイドホルモンと乳房発育との関係 : (1)副腎性ステロイドであるDHA-Sは乳房発育と共に増加し, B_5においてはB_1の約5倍に増加した. (2)cortisolはB_2~B_3にかけて有意の増加がみられた. (3)卵巣性ホルモンである estradiolとの関係をみると, 下垂体ホルモンと同様の傾向を示し, B_5においては成熟婦人の域に達する. さらに progesteroneのstage B_3での初経未発来群と発来群との比較では, 初経発来群において明らかな高値がみられた. 5) まとめ : (1)思春期における乳房発育と身体発育, 及び特に性ホルモンさらに副腎性ホルモンとの関係を初めて明らかにした. (2)乳房発育と身体発育(身長, 体重)は相関があり, 両者間の密接な関係が示唆された. (3)副腎性ステロイドであるDHA-Sが思春期乳房発育と強い相関(p<0.001)があることが示された.

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