成長ホルモン治療中のPrader-Willi症候群の一例

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  • A case report of orthodontic treatment for Prader-Willi syndrome with growth hormone therapy

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Prader-Willi症候群(Prader-Willi syndrome:PWS)は新生児期・乳児期の筋緊張低下,哺乳障害ならびに乳児期以降の過食,低身長,知的発達障害,鞍鼻,魚様口唇などを特徴とする疾患である.歯科的所見としては上顎骨,下顎骨の単独あるいは複合した劣成長,エナメル質形成不全,多数歯う蝕,歯の萌出遅延などが報告されている.本邦でも2002年よりPWSに対して成長ホルモン(growth hormone:GH)投与が適応となり,低身長,体脂肪の増加,筋緊張低下,活動性の低下などの症状が改善され多くの患者に恩恵をもたらしている.しかしGH治療がPWSの顎顔面部成長に与える影響についてはいまだ報告されていない.症例は前歯部反対咬合,叢生を主訴として来院した初診時年齢8歳1か月のPWSの男児である.初診時は上顎骨の後方位と下顎骨の過成長による骨格性反対咬合を呈していた.小児科にて2年1か月のGH治療を受けており,身長は120.9cmで同年代の-1S.D.を超えて低かった.前歯部反対咬合と下顎の右方偏位改善と上顎骨前方成長促進を目的に1年10か月の矯正治療を行ったところ,良好な咬合関係を得ることができた.本疾患は思春期以降の過食による肥満,糖尿病,性格障害による社会的問題行動が特徴であり,不正咬合を有する場合には治療協力の得られる早期に治療を行うことが重要であると思われた.

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