クロキアゲハとミヤマカラスアゲハの種間雑種(日米科学協力研究 : 太平洋地域の昆虫類の地理的分布と生態)

書誌事項

タイトル別名
  • The hybrids between Papilio polyxenes and P. maackii(Japan-U.S. Co-operative Science Program : Zoogeography and Ecology of Pacific Area Insects)

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説明

1) 北米産クロキアゲハと日本産ミヤマカラスアゲハの間の7対のhand-pairingに成功し, うちクロキアゲハ♀×ミヤマカラスアゲハ♂の3対から受精卵を得たが, 1対からの受精卵のみがふ化した.2) 雑種の幼虫(10個体)はウイキョウ及びキハダで飼育した.成育及びその速度は普通で病死と思われる以外の約半数が5令に達したが, 更に恐らく病気のために死亡する個体が出て, キハダで育てた2個体のみ蛹化し, 2雄が羽化した.3) 雑種の変態の各時期において両親の対応する諸形質は一方が優性となり又は中間となつてあらわれたが, 全体としては1, 2令と5令幼虫はクロキアゲハに似, 3, 4令幼虫は中間よりミヤマカラスアゲハに近く, 蛹は中間形で, 成虫はミヤマカラスアゲハの方に似ていた.4) キアゲハ群とミヤマカラスアゲハの近縁関係は, 交配実験の結果によれば一般的な分類によつて推定されるよりずつと近いことを示している.5) メラニン系の色素による黒色の地色又は模様は他の数例の雑種と同じくクロキアゲハとミヤマカラスアゲハの雑種においても多くの場合優性にあらわれる.

収録刊行物

  • 昆蟲

    昆蟲 32 (1), 91-99, 1964-04-10

    東京昆蟲學會

被引用文献 (1)*注記

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