閉経およびホルモン補充療法のレムナントリポ蛋白に及ぼす影響

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  • Effects of Menopause and Hormone Replacement Therapy on the Metabolism of Remnant Lipoprotein

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抄録

カイロミクロンや超低比重リポ蛋白の加水分解によって生ずるレムナントリポ蛋白は, トリグリセライド(TG)に富み, 動脈硬化の発生に関わっていることが知られている.本研究では, エストロゲンおよびプロゲストーゲンのレムナントリポ代謝への影響を明らかにすることを目的とした.未閉経女性20例, 閉経女性70例(手術閉経女性:30例, 自然閉経女性:40例)を対象とし、レムナントリポ蛋白の指標とされるレムナント様リポ蛋白コレステロール(RLP-C)を測定した.また, 対象例のうち手術閉経女性21例には結合型エストロゲン(CEE)0.625mg/日の連続投与を, 自然閉経女性36例にはCEEと酢酸メドロキシプロゲステロン(MPA)2.5mg/日との併用連続投与を施行し, 両群におけるRLP-Cを含む脂質パラメーターの推移を比較検討した.その結果, RLP-C値は, 未閉経群に対し, 手術閉経群, 自然閉経群でいずれも有意な高値を示した(p<0.005).ホルモン補充療法により, 血清総コレステロール, LDL, コレステロールは有意に低下, HDLコレステロールは有意に増加した.また, TG値の推移には変化が認められなかったが, RLP-C値は手術閉経群, 自然閉経群ともに減少を示し, 特に自然閉経群では有意な減少であった(p<0.05).今回の検討からレムナントリポ蛋白も閉経後に増加することが示された.また, ホルモン補充療法は脂質代謝を改善させるだけでなく, レムナントリポ代謝にも好影響をもたらし, 動脈硬化発症を防止する可能性が示唆された.

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