糖尿病者におけるインスリン抵抗性と尿中コルチゾール代謝産物の研究

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近年,生活習慣の変化により,肥満,高血圧,高脂血症を合併したインスリン抵抗性による2型糖尿病は増加している.このような状態はCushing症候群との共通点も多い.そこで我々は2型糖尿病のインスリン抵抗性の原因の一つとしてコルチゾール代謝異常に注目し,尿中6β-OHFを中心にコルチゾール代謝物の測定を行い糖尿病の病態との関係について検討した.糖尿病者52名(男性31名,女性21名),健常者26名(男性15名,女性11名)について主にコルチゾール代謝産物に注目して測定を行った.24時間蓄尿の試料について尿中6β-hydroxycortisol(6β-OHF),遊離コルチゾール,17-OHCS,17-KS,tetrahydrocortisol(THF),tetrahydrocortisone(THE)等を測定した.尿中6β-OHFは糖尿病者群では438.7±52.5μg/g. Cr(mean±SE)で,健常者群258.5±18.1μg/g. Crより有意に高値であったが,遊離コルチゾール,17-OHCS,17-KSは糖尿病者と健常者間に有意な差はなかった.糖尿病者において体格指数(BMI)は尿中6β-OHF,遊離コルチゾール,17-OHCS,17-KS,THE,THF,THF/THE比と有意な相関を認めなかった.尿中C-peptideは尿中6β-OHF,遊離コルチゾールと有意な相関を認めなかった.尿中6β-OHFと遊離コルチゾールとの間に相関は認めなかった.THEとTHFとの間に有意な正相関を認めた.THF/THE比とコレステロールとの間に有意な負の相関を認めた.尿中6β OHFはHOMA指数と有意な正相関を認めたが,遊離コルチゾールは有意な相関を認めなかった.コルチゾール代謝異常による尿中6β-OHFの変化は2型糖尿病のインスリン抵抗性に関与していることが示唆された.

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