尿路結石症におけるクエン酸療法の基礎的検討 : クエン酸の蓚酸カルシウム結晶溶解作用およびラット実験結石に与える影響

  • 安川 修
    和歌山県立医科大学泌尿器科学教室

書誌事項

タイトル別名
  • BASIC STUDIES OF CITRATE THERAPY ON UROLITHIASIS : The Effect of Citrate on Solubility of Calcium Oxalate Crystal and on Calcium Deposition of Murine Kidney in Experimental Oxalate Stone

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説明

クエン酸が蓚酸カルシウム結石形成に及ぼす影響について基礎的ならびに動物実験による検討を行い以下の結果を得た.1)クエン酸は生理的pHの範囲においては蓚酸カルシウムの溶解度を増加せしめ,且つその作用はアルカリ側において顕著であった.また平行しておこなわれたhydroxyapatiteの溶解度に関する検討では,クエン酸は対照群に比べればその溶解度を上昇させたもののアルカリ側においては極端な溶解度の低下が観察された.2)aggregometerを用いた蓚酸カルシウムの結晶形成能についての検討結果では,クエン酸は濃度依存性に蓚酸カルシウムの結晶形成を抑制するとの結果が得られた.3)ラットを用いた動物実験では0.4%エチレングリコール投与によって認められる腎尿細管内の蓚酸カルシウム結晶がクエン酸塩の同時投与によって著明に抑制されることが確認された.以上よりクエン酸は尿中において蓚酸カルシウム結石形成に抑制的に作用することが確認され,動物実験の結果からもカルシウム結石症に対する臨床効果が期待でき得る可能性が示唆されるものであった.

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