冷蔵中の魚刺身に対する練りワサビの保存効果 : 刺身付着菌の増殖阻害
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- 松岡 麻男
- 活水女子大学 活水女子短期大学
書誌事項
- タイトル別名
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- Preservative Effect of Wasabi Paste on The Sashimi of Fish in Cold Storage : Growth-Inhibition of Bacteria on The Sashimi
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説明
アジやハマチの刺身の冷蔵における市販練りワサビの保存効果ならびにワサビの辛味成分の本体であるイソチアン酸アリルおよびその類似物質の抗菌力について検討した。1.新鮮なアジやハマチの刺身には、1g当たり約10^4の生菌が付着していた。これらの刺身をタイトボックスに入れ、2〜4℃で冷蔵しておくと、それらに付着している細菌の生菌数は2日目から8日目にかけて対数的に増加して、8日間冷蔵すると10^8/g以上となった。2.練りワサビを刺身の入ったタイトボックスの隅に置いて冷蔵すると、これらの生菌数の対数的増加は阻害された。練りワサビを刺身に塗って同様に貯蔵すると、生菌数の増加はさらに著しく阻害され、保存性は高まった。3.アジやハマチの刺身の新鮮さは、冷蔵中における生菌数から判断すると、2〜3日間は保持された。練りワサビの使用は刺身の新鮮さをさらに保つことができ、特にこれを刺身に塗った場合はその保存性が高まり、4〜5日間冷蔵しても、刺身の新鮮さは充分保たれていた。4.イソチアン酸エチル、-アリル、-n-ブチル、-イソブチル、-ドデシル、-ベンジルの抗菌力を検討した結果、ワサビの辛味成分の本体であるイソチアン酸アリルが最も強い抗菌力を示し、その最小生育阻止濃度は枯草菌に対して1.25mMで、大腸菌に対しては0.25mMであった。5.練りワサビの添加による刺身の冷蔵中における鮮度保持の延長・保存性向上は、練りワサビに含まれるイソチアン酸アリルによると考えた。
収録刊行物
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- 活水論文集. 生活学科編
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活水論文集. 生活学科編 35 31-37, 1992-03
活水女子大学
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1571980077467508992
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- NII論文ID
- 110007058112
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- NII書誌ID
- AN10458705
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- ISSN
- 0919584X
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- CiNii Articles