富山県の家庭料理 副菜の特徴
書誌事項
- タイトル別名
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- Toyama prefecture home cooking: side dishes
抄録
<p>【目的】富山県に伝承されている家庭料理のなかで副菜の特徴を明らかにすることを目的に研究を行った。</p><p>【方法】平成28〜30年度に県内の黒部市,富山市,高岡市,氷見市,南砺市,砺波市に在住のとやま食の匠・伝承の匠の方々を対象に,昭和35年〜45年に家庭で調理されていた副菜について聞き書き調査をし,副菜の特徴について考察を行った。</p><p>【結果および考察】富山県は,昭和38年の豪雪は記憶に残る大雪で,各家々では昔から冬の食材の保存には雪の利用が欠かせなかった。特に需要が多かった大根を用いて,浅漬け,たくあん漬け,おこもじ(大根葉)などを作った。また,たくあん漬けの古漬けを塩出しし,酒粕などで煮て全てを無駄にせずに食した。春には山菜を採って塩漬けにし,夏は若芽を乾燥するなど,1年中食べれるように保存の技術を生かした食生活の知恵を知ることができた。すなわち,富山県の副菜の特徴は,(1)大根やかぶらなどの根菜・葉菜の利用,(2)山菜のくごみ(こごみ)やくさぎ,赤ずいきなど乾燥食材の活用,(3)古漬け野菜を発酵調味料で味つけした料理,(4)報恩講や行事食に欠かせない伝統食の継承,であることがわかった。各々の特徴に関連した料理は,お酢わい・かぶらごき・よごし((1)),つぼ煮・くさぎと打ち豆の煮つけ((2)),あいまぜ・おこもじ・赤ずいきの酢の物((3)),いとこ煮・にざい・山菜の煮物((4))であった。県内の地域別に副菜をみると,よごしは南砺市,砺波市の料理で,つぼ煮は立山町など県東部の新川地域で作られ,地域特有の料理があった。また県内の多くの地域ではいとこ煮というが,黒部市では「にざい」と呼び,射水市,砺波市では南瓜と小豆の煮物をいとこ煮と呼んでおり,地域差がみられた。</p>
収録刊行物
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- 日本調理科学会大会研究発表要旨集
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日本調理科学会大会研究発表要旨集 31 (0), 212-, 2019
日本調理科学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001288157927296
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- NII論文ID
- 130007695744
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可