かつお節「だし」の酸味とイノシン酸の役割

書誌事項

タイトル別名
  • Sourness functions of inosinic acid in katsuobushi extracts

説明

【目的】 カツオ、マグロなど赤身魚の肉は白身魚のそれと比べてやや酸味があり、これが赤身魚の肉の味を特徴づけている。そこで、かつお節(普通肉)から調製した「だし」のpHを調整して酸味の程度を変化させ、「だし」の味にどのような影響が表れるかを調べた。また、うま味の主要成分となっているイノシン酸(IMP)を酸性ホスファターゼ(AP)によって分解し、「だし」の味に及ぼす影響について検討した。<br>【方法】 かつお節(本枯れ節)から普通肉のみを採取したのち、常法により「だし」を調製した。その後、HClおよびNaOHによってpHを4~7に調整し、官能評価によって味の特徴を解析した。「だし」に精製AP(EC 3.1.3.2)を添加し、38℃で4時間加温することによってIMPを分解し、その影響を官能評価した。「だし」に含まれるIMP含量はHPLC(島津LC-10型、カラム充填剤 STR ODS-II)によって測定した。<br>【結果】 pHを4.0に調整した「だし」は、無調整のそれ(pH5.9)にくらべて、きわめて酸味が強く他の味にも影響を及ぼすこと、pHを4.9に調整したものは他の味にはあまり影響をおよぼさないもののやや酸味が強いこと、pH7.1のそれは、うま味は強いものの酸味が弱く印象が薄いことなどが明らかとなった。「だし」にAPを添加してIMPの少なくとも75%を分解すると、うま味の減少とともに酸味が強まることもわかった。この事実は、IMPがうま味の発現に関与するだけではなく、酸味の発現を抑制していることを示唆している。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680668614912
  • NII論文ID
    130005044283
  • DOI
    10.11402/ajscs.25.0.62.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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