高pHでのジャガイモ澱粉の糊化と糊液の特性
書誌事項
- タイトル別名
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- The gelatinization of potato starch and the property of potato starch pastes at higher pH
説明
【目的】これまでに,コーンスターチとタピオカ澱粉に及ぼす高pHの影響について検討してきた。澱粉の糊化は塩添加の影響を受けるため,pHの調整にはアルカリ塩とアルカリ性の緩衝液を用い,塩の種類や塩濃度による違いについても検討してきた。しかし,高pHでの澱粉の糊化特性は,塩添加の影響よりもpHにより強く左右されるとわかった。そこで本研究では,糊液の粘度がNa塩の影響を強く受けるとされているジャガイモ澱粉を用いて高pHにおける澱粉の糊化と老化について検討した。<br><br>【方法】澱粉にはジャガイモ澱粉(三和澱粉工業(株))を用い,その濃度は3.0および20wt%とした。また,pHの調整には炭酸ナトリウムおよび水酸化ナトリウムを用いて,pHを8.8-13.5に調整した。アルカリ無添加の澱粉をコントロール(pH 6.1)とした。糊化過程,澱粉糊液の特性についてはDSC測定と定常ずり粘度測定,顕微鏡観察を用いて検討した。<br><br>【結果】ジャガイモ澱粉のpHを11付近までのアルカリ性にすると,糊化温度が高温側へ移行し,糊化が起こりにくくなり,澱粉粒子の膨潤度は低くなった.その影響を受けて3.0wt%ジャガイモ澱粉糊液の粘度はpHの増加に伴い低くなった.一方,pHが12を超えると,糊化温度と糊化エンタルピーが低くなり,澱粉粒子の膨潤度は高く,糊化が起こりやすくなることがわかった.そのため,pH12付近では,糊化の際に澱粉粒子から溶出したアミロース鎖やアミロペクチン鎖の絡まりあいが多く,糊液の粘度は高くなった.しかし,pH13付近の非常に強いアルカリ性にすると,糊液の粘度は著しく低くなった.この粘度の増減傾向はコーンスターチ糊液と類似した。したがって,ジャガイモ澱粉においても高pHでは塩添加よりもpHの影響を強く受けるとわかった。
収録刊行物
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- 日本調理科学会大会研究発表要旨集
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日本調理科学会大会研究発表要旨集 30 (0), 69-, 2018
日本調理科学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282763104292480
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- NII論文ID
- 130007479275
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可