新潟県の家庭料理 副菜の特徴

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タイトル別名
  • Niigata prefecture home cooking : side dishes

抄録

<p>【目的】『次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理』のガイドラインに準じた聞き書き調査結果から,昭和35〜45年頃までに定着し,現在も食される新潟県の副菜について報告する。</p><p>【方法】上越,柏崎,魚沼,長岡,新潟,村上,佐渡,7地域の副菜について検討した。</p><p>【結果および考察】新潟県は,海岸線が長く豊かな漁場もあり,砂丘地から山間高冷地まで,多様な農林水産物に恵まれている。山間部の代表的な料理「ぜんまい煮」は,県内外でもハレ食として供される。上越地域の冬には,ゼラチン質の深海魚で「幻魚の味噌汁」を食す。柏崎地域は,むきくるみと吉野葛で食感の良い精進料理「くるみ豆腐」をハレ食に,夏の疲労回復には塩鯨の脂身と夕顔の味噌汁「鯨汁」を用いた。豪雪の魚沼地域では,冬の貯蔵野菜の中で最多生産量の大根を活用し,「干し大根の煮物」や身欠き鰊等を加えた麹漬け「きっこうし漬け」を,小千谷地区でも「大根煮」を,日常食としてきた。長岡地域では古来,伝統野菜に親しみ,夏には巾着なすで「ふかしなす」を,冬には体菜の漬物・打ち豆等で「煮菜」を整えてきた。新潟地域では,秋に食用菊で「かきのもとの甘酢和え」「かきあえなます」を楽しみ,冬には切り干し大根やするめで正月料理の定番「切り干し漬け」を準備する。村上地域は年中,調味した寒天で豆腐等を寄せた「寄せ豆腐」を茶請けにも用意する。佐渡地域では,もろみや大豆で「しょうゆの実」を,秋にはおけさ柿(渋柿)を用いた「大根の渋柿漬け」を食卓に添えた。米の生産量が全国1位の新潟県では,各地域で入手可能な保存食品や伝統野菜・大根・貯蔵可能な漬物等を組み合わせた,米と相性の良い料理を工夫して,ハレ食や日常的な食生活を営んできた。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390564238111347968
  • NII論文ID
    130007695740
  • DOI
    10.11402/ajscs.31.0_209
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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