自閉スペクトラム症児における意図共有を伴う協同活動の獲得過程:特別支援学校の授業における共同行為ルーティンを通して

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書誌事項

タイトル別名
  • Acquisition Process of the Shared Cooperative Activities in a Child with Autism Spectrum Disorder: A Case Study Using Joint Action Routine Procedure in the Lessons of Special Needs Education School
  • ジヘイスペクトラムショウジ ニ オケル イト キョウユウ オ トモナウ キョウドウ カツドウ ノ カクトク カテイ : トクベツ シエン ガッコウ ノ ジュギョウ ニ オケル キョウドウ コウイ ルーティン オ トオシテ

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抄録

<p>本研究では,発達年齢2歳代の自閉スペクトラム症(ASD)児1名を対象として,特別支援学校の授業を通して意図共有を伴う協同活動の獲得可能性を検討した。意図共有を伴う協同活動とは,目標の共有,相互の役割理解,相互支援の3つの要件を満たす活動であると定義して,問題解決型(研究1)と社会的ゲーム型(研究2)の協同活動の獲得を目標として,共同行為ルーティンを用いた支援を行った。その結果,第1に,対象児は2タイプの活動において支援者への協調的な関与が可能になった。そして,支援者が各活動の最中にその役割遂行を中断すると,対象児は支援者に対して顔注視や発語等の対人志向的行為を示した。第2に,研究2において対象児が社会的ゲーム型の協同活動を獲得した後には,2タイプの協同活動の般化が複数場面で確認された。第3に,研究1において問題解決型の協同活動が限定的に遂行可能になった時期から,意図共有の成立指標の1つとされる共同注意の始発が家庭と学校の日常生活場面で生起するようになった。以上の結果から,まず,2つの協同活動に共通する獲得過程として,ルーティンの中の特定の要素について注意を共有して行為する段階から,目標を共有して相互の役割理解に基づき行為する段階へと移行するプロセスが見出された。次に,協同活動の遂行と共同注意の始発との連関の可能性が示唆された。最後に,協同活動の獲得を促すための共同行為ルーティンの役割が考察された。</p>

収録刊行物

  • 発達心理学研究

    発達心理学研究 31 (3), 105-117, 2020

    一般社団法人 日本発達心理学会

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