-
- 森崎 美穂子
- 大阪市立大学
書誌事項
- タイトル別名
-
- Emergence of pluralistic valuations for the authenticity in the Japanese Confectionery (wagashi) Industry
- ワガシ ノ シンショウセイ オ メグル タヨウナ カチズケ ノ トウジョウ サイキン ノ ホウガテキ ヘンカ オ ジレイ ニ
- ワガシ ノ シン セイセイ オ メグル タヨウ ナ カチズケ ノ トウジョウ : サイキン ノ ホウガテキ ヘンカ オ ジレイ ニ
この論文をさがす
説明
生活様式の変化、経済における大量生産大量消費化の進行やグローバル化の流れにより、各国でいわゆる伝統産業が衰退し、職人の手仕事による製品は工業製品に代替されてきた。しかし、近年一部の伝統産業は創造的に再活性化する様相を見せている。本研究では、このような例として和菓子産業に注目し、フランスや欧州で、効率化から品質重視へと変化する過程を分析するうえで積極的に活用されたコンヴァンシオン理論の「シテcite概念」、また「価値」や「真正性」を検討する議論である「価値づけ研究valuation studies」、スタークの理論「多様性のイノベーション」を適宜援用し、近年の和菓子の価値の変容について検討をおこなった。日本で発展してきた菓子「和菓子」は、「暖簾」や職人技、茶道の規矩に則った「意匠」にその真正な価値が付されてきた。戦後は、和菓子産業においても工業化が進展したが、茶道の隆盛とともに職人技も維持されてきた。そして、近年、萌芽的に新たな動向がみられる。例えば、和菓子を現代アートのようにギャラリーに展示することや、これまで表にでることがなかった和菓子職人や老舗の若旦那が和菓子作りの思いや技を直接顧客に魅せるイベントを百貨店で行い、新たな消費者と需要を創出する活動等がある。これらは、「シテcite概念」でいう「インスピレーションのシテ」と「プロジェクトのシテ」によって説明可能となる新しい和菓子の価値づけ活動といえる。また現在、和菓子の価値や評価について、ソーシャルメディアやランキングサイトからの影響が増大している。こうした多元的な評価媒体は、伝統的な和菓子のアクターと、新しい萌芽的活動形態との間に摩擦を生じさせている。Starkによれば、多様な価値の間での不協和は、創造的な経済発展にとって重要なプロセスであるという。現在の和菓子産業における不協和は、和菓子産業を創造的で、イノベーティブな産業へと発展させている。
収録刊行物
-
- 創造都市研究 : 大阪市立大学大学院創造都市研究科紀要
-
創造都市研究 : 大阪市立大学大学院創造都市研究科紀要 17-18 53-72, 2018-03
大阪市立大学創造都市研究会
- Tweet
キーワード
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390853649850778240
-
- NII論文ID
- 120006474985
-
- NII書誌ID
- AA12147442
-
- NDL書誌ID
- 029154076
-
- ISSN
- 18810675
-
- 本文言語コード
- ja
-
- 資料種別
- departmental bulletin paper
-
- データソース種別
-
- JaLC
- IRDB
- NDLサーチ
- CiNii Articles
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用可