口臭症患者に認められる揮発性硫黄化合物と口腔環境との関連性

  • 佐々木 泉
    徳島大学大学院医歯薬学研究部口腔保健衛生学分野
  • 福井 誠
    徳島大学大学院医歯薬学研究部口腔保健衛生学分野 徳島大学病院歯科衛生室
  • 坂本 治美
    徳島大学大学院医歯薬学研究部口腔保健衛生学分野 徳島文理大学保健福祉学部口腔保健学科
  • 玉谷 香奈子
    徳島大学病院歯科衛生室
  • 日野出 大輔
    徳島大学大学院医歯薬学研究部口腔保健衛生学分野 徳島大学病院歯科衛生室

書誌事項

タイトル別名
  • Relationship between Volatile Sulfur Compounds and the Oral Environment in Patients Complaining of Oral Malodor
  • コウシュウショウ カンジャ ニ ミトメラレル キハツセイ イオウ カゴウブツ ト コウコウ カンキョウ ト ノ カンレンセイ

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説明

<p> 本研究では,口臭症患者から検出された揮発性硫黄化合物(Volatile Sulfur Compounds: VSC)と舌苔沈着および歯周状態との関連性を分析することを目的とした.研究対象者は徳島大学病院口臭外来受診者156名である.ガスクロマトグラフィー検査(H2S, CH3SH, total VSC)に加えて,性別,年齢,日常の口腔清掃習慣および喫煙習慣などについて電子カルテよりデータを取得した.舌苔沈着状況はWinkle Tongue Coating Index(WTCI)にて数値化した.歯周状態または口腔清掃状態のデータが得られた37名に対しては,口臭と口腔環境との関連性について統計学的に分析した.舌清掃習慣あり群ではなし群と比較して,検出されたすべてのVSCが有意に少なかった.また,検出されたすべてのVSCとWTCIおよびO’Leary のPlaque Control Record(PCR)との間に,有意な正の相関が認められた.さらに,真性口臭症患者では,Periodontal Epithelial Surface Area(PESA)とCH3SHとの間に有意な正の相関が認められた.検出されたVSC濃度を対数変換して従属変数とした重回帰分析を行った.その結果,各VSC値とも有意な関連性が認められたのはWTCIのみであり,H2S,CH3SH およびtotal VSCの偏相関係数はそれぞれ,0.519(p<0.01),0.479(p<0.05)および0.531(p<0.01)であった.これらの結果から,VSCの発生には舌苔沈着が関与しており,口臭の予防のために舌苔沈着を低減させる必要性が示唆された.</p>

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